米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)をきっかけに始まった金融危機は、どこまで世界の人々を苦しめることになるのだろうか。米ワシントンで12日に開かれた世界銀行と国際通貨基金(IMF)の合同開発委員会は、金融危機について「最貧国の人々に深刻で取り返しの付かない損害を与えるリスクがある」と警告、先進国に途上国への資金支援を続けるよう求める共同声明を採択し、閉幕した。
■食料、エネルギーも
声明は「途上国の多くはすでに食料・エネルギー価格の高騰で大きな損害を受けている」と指摘。その上で、金融危機による世界的な景気悪化などが長引けば、途上国経済は深刻な事態に陥る可能性があると強調し、「(途上国が)国民生活を向上させる努力が大幅に後退しかねない」との懸念を表明した。
振り返れば、金融危機の前まで世界の最大の懸案は食料やエネルギー価格の高騰だった。食料不足や物価高騰は、アフリカなどの最貧国中心に深刻な社会不安を招き、世界中で暴動も続発。7月の北海道洞爺湖(とうやこ)サミットでも最重要テーマだった。
そんな中での金融危機。日本政府の篠原尚之(しのはら・なおゆき)財務官(55)は合同開発委員会で、金融危機の深刻化によって途上国に流れる民間資金が減る可能性があると指摘し、「経済成長を支えるインフラや教育への投資資金が不足し、貧困層の生活を下支えする資金が手当てできなくなる恐れがある」と訴えかけた。
世界銀行のロバート・ぜーリック総裁(55)も会見で、途上国の金融機関の資本増強を支援する必要があると述べたが、それでも途上国の厳しい状況は簡単には終息しそうにない。IMFのドミニク・ストロスカーン専務理事(59)は委員会閉幕後の会見で、「金融危機が落ち着いても、途上国が直面している(食料価格高騰などの)危機は続く」と警鐘を鳴らしている。
■世界銀行 第二次大戦後の世界経済の安定と復興を協議した1944年のブレトンウッズ会議で、国際通貨基金(IMF)とともに創設を決めた開発資金の融資機関。発展途上国の貧困削減が目的で、一般的に世銀とは、中所得国への融資を担う国際復興開発銀行(IBRD=International Bank for Reconstruction and Development)と低所得国に対応する国際開発協会(第2世銀、IDA=International Development Association)の両機関を差す。本部はワシントンで、加盟国は185カ国。
■国際通貨基金(IMF=International Monetary Fund) 金融市場や外国為替相場の安定を担う国際協力機関。ブレトンウッズ会議で設立に合意し29カ国で発足した。日本は52年に加わり、185カ国が加盟。本部はワシントン。ブレトンウッズは米ニューハンプシャー州の都市名だ。
抜粋 IZA
・コメント
世界的な株安を受けて途上国の支援活動にも影が落ちてきています。経済の停滞は、自国の経済の建て直しが優先されるのは当然で、諸外国は二の次になるのは明白です。
生き残るのも精一杯の状況に誰も支援をしてくれと申し出ることはやりにくいでしょう。他人を助けて自分が沈んでしまっては、将来助けられる国も助けられなくなります。
今回の金融支援対策における協調路線のように、世界規模で取り組む問題として途上国の金融期間の資本増強を行わなければ、また悲劇がうみだされます。
戦争や犯罪の火種は、貧困から起こることはすでに皆わかっていることですから。

